トランスミッションとは日本語に直訳すると、自動車の分野で言えば「変速機」の意味です。
車の分野以外の意味はというと、伝達(すること・されること・されるもの)、伝染、メッセージ、伝導、伝動装置と訳されることもあります。
この記事では自動車で日常的に使われるトランスミッションのさまざまな種類について、まとめて解説します。
◆MT・マニュアルトランスミッション
◆AT・オートマチックトランスミッション
↳トルクコンバーター式
↳CVT
↳DCT
◆AMT
という種類があります。
MT・マニュアルトランスミッション
マニュアルトランスミッションとは、手動(マニュアル)でギアチェンジを行う変速機(トランスミッション)のことをいいます。
通称、マニュアル車・MT車、単に「ミッション」などと呼ばれています。
現在のマニュアル車(MT車)は、ギアチェンジのとき1回クラッチを踏むだけの操作ですが、最初のMT車では2回踏まないといけませんでした。興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。
マニュアル車のギアチェンジというと、歯車と歯車を繋げたり離したりするイメージが強いですが、実際には、スリーブというものでギアチェンジをします。
わかりやすい動画がありましたのでご覧ください。
高速で回転する歯車と歯車を入れ替えるのは、エンジン側の歯車とタイヤ側の歯車をタイミングよく噛み合わせないと、ギアが入ってくれません。
歯車を常時噛み合わせたままにしておき、スリーブで回転の伝達経路を変更させることで、スムーズにギアチェンジができるようにしているのです。
マニュアル車は運転してる感があって個人的には好きです。
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AT・オートマチックトランスミッション
オートマチックトランスミッションとは、機械的な意味においては、ギアチェンジを自動で行う機構の変速機のことをいいます。
通称、略して「オートマチック」、「オートマ」、「AT」などと呼ばれます。
マニュアルトランスミッションの機械的仕組みを持ちながら、クラッチペダルがない「DCT」は運転免許においてはオートマ車に分類されます。
オートマ車のトランスミッションはいくつかの機構方式に分類されます。
現在では、次の3つの方法が主なオートマ車のトランスミッション方式となっています。
・トルクコンバーター式
・CVT
・DCT
トルクコンバーター式
トルクコンバーターとは、流体式クラッチのことで、マニュアル車のクラッチに相当する部分が、封入されたオイル(オートマチックフルード・ATF)になっている機構です。
一般的にオートマ車はトルクコンバータ式です。
1980年代~90年前半頃まではマニュアル車が主流で、オートマ車(AT車)のことを「トルコン」と多くの人が呼んでいました。
トルクコンバーターは、オイルの流れを利用したクラッチの機構で、マニュアル車での半クラッチは、オイルの流れの滑りを利用した仕組みです。
オイルによって駆動を伝えているんですね。
これもわかりやすい動画がありましたのでご覧ください。
オートマチックトランスミッションのギアチェンジは、主に次の2つの方法でギアチェンジをする仕組みとなっています。
【油圧式】
さまざまな油圧を感知して、シフトアップのタイミングを判断する方法。
【電子制御式】
マイクロコンピューターがセンサーからの情報を制御する方法。
現在は、電子制御式が主流となっています。
トルコンATにおいて、最近のトレンドは多段化です。7速AT、8速ATとギア数を増やすことで、高速帯での回転数を抑え燃費を良くすることができます。
何気なく乗っているオートマ車ですが、複雑な構造をしていることがわかりますね。
CVTの仕組み
CVTとは、無段変速機のことで、歯車を用いず金属製の特殊なベルトとプーリーで変速する仕組みをもつものです。
CVT はContinuously Variable Transmission
の頭文字をとったもので、直訳すると「連続可変トランスミッション」です。
CVTの仕組みは以下の動画でご覧ください。
エンジン側とタイヤ側それぞれにプーリーがあり、プーリーがベルトを挟み込む力を調節してプーリーの外径を変化させる機構です。
また、プーリーとベルトの摩擦抵抗を利用してクラッチと同じ機能を持たせています。
特長としては、
トルクコンバーター式のオートマチックに比べてパワーロスが少ないことと、常に速度に応じた最適なギア比とすることができるという高効率、高燃費という点があります。
CVTはトルコンATと比較して、構造的に多段化が難しいシステムでもあります。
高速走行時に低い回転数で走り燃費を稼ぐトルコンATの手法が採用しづらいというデメリットがあります。
こういった特性から、CVTは大型車よりもコンパクトカー(小排気量のターボ車)に多く採用されています。
N-BOX、ハスラー、タント、アクア等小型車によく採用されています。
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DCTの仕組み
DCTとは、Dual Clutch Transmission の頭文字をとったもので、和訳すると「デュアルクラットトランスミッション」、クラッチが2つあるトランスミッションのことをいいます。
基本的な仕組みは、マニュアルトランスミッションと同じとなります。
異なる点は、DCTには、クラッチが2つあり、1つのクラッチが奇数ギア、もう1つが偶数ギアにそろぞれ分けられています。
ギアを変えるとき、予め次のギアはクラッチは接続状態になっている仕組みになっています。
このため、シフトチェンジのタイムラグは非常に少なくする利点があります。
DCTでは、クラッチの操作は電子制御し自動で行うため、運転席にはクラッチペダルがありません。
日本の運転免許区分では、AT限定でもDCT車が運転できます。
DCTの仕組みは、2003年にアウディとフォルクスワーゲンから「DSG」(ダイレクト・シフト・ギアドライブ)の名称で市販者に搭載され、以降、ダウンサイジングターボ車を中心に搭載が進んでいます。
DCTを積極的に採用しているメーカーとしては、フォルクスワーゲン、Audi、ポルシェ、国産車ではホンダなどが挙げられます。
AMTの仕組み
AMTとは、MT車のシフトチェンジを自動化したオートマチックのことで、基本的な機構はマニュアルトランスミッションと同じになります。
仕組みは、マニュアルトランスミッションのクラッチ操作とシフトチェンジを電子制御、自動化したものとなります。
「セミオートマチック」とも呼ばれています。
マニュアル車はシフトチェンジのとき、変速ショックなどと呼ばれる軽いショックがあります。
このショックはAMTでも同じとなります。
運転フィーリングの悪さがネックになっていることからか、AMTを搭載した車は非常に少なくなっています。
近年の国産車では、2000年に発売されたトヨタ・MR-S(現在は製造販売終了)、2015年のスズキ・アルトワークスにAMT車の設定のみとなっています。
(アルトワークスは、AGSという名称)
まとめ
トランスミッションは車種によってほぼ決まってしまします。
なので車選びの際にはあまり重要視しないと思いますが、車がどうやって動いているのかを知るためにはトランスミッションは必要不可欠な機構です。
日本ではマニュアルトランスミッションは減少傾向ですが、海外ではまだマニュアルトランスミッションが主流です。
オートマ車の進化により、マニュアルの利点が少なくなっていますが、マニュアルトランスミッションは車の原点なのでなくならないでほしいです。
ランクルやプラド、その他SUVにもMT仕様が出ればいいのですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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